国盗り物語 3巻(織田信長)
国盗り物語 4巻(織田信長)
脳みそ。
脳みそ。
脳みそ。
僕が『国盗り物語』を読んで感じたのは「脳みそ」ということです。
信長の脳みそ。
信長の脳みそでパチンと弾けた発想ひとつが、歴史を動かしていったっていう。そういう痛快さですね。
のちに『
新史太閤記』を読んだときにも、同じことを感じました。
■今さらですが…
『国盗り物語』は戦国時代を舞台にした司馬遼太郎の小説です。全部で4巻あります。
前半(1、2巻)の主人公は
斉藤道三。
後半(3、4巻)の主人公が織田信長です。といっても、おもに明智光秀の視点で描かれています。
■信長は宇宙人
信長は斉藤道三の娘と結婚しました。だから二人は義理の親子ということになります。
道三から信長へ、天下取りのバトンが受け継がれていきます。
で、信長は宇宙人…
■ラグビーボールのような発想力
信長の発想は想定外で、どこへ飛ぶかわかりません。
まるで
ラグビーボールです。
当時の人たちは、信長のことを宇宙人だと思ったかも知れませんよね。
「天才っていうのは、ここでこういう発想をするのか〜」
「信長のすごさはコレだ!」
と感嘆しながら読んだのを覚えています。
(・∀・)わくわく♪
■脳みそに針を
信長の「脳力」がラグビーボールのように暴れまわるのを見ていると、こっちの脳みそまで刺激されました。
針治療みたいでした。
脳みそに直接針をさされているような感覚です。気持ちいいです。
とかいいつつ、針治療って未経験なんですけどね。
この小説で印象に残ったのは、すぐれた常識人である明智光秀が、異端児である織田信長に徹底的に引きずり回されていく様子です。一見おだやかなシーンの中にも、光秀と信長のピリリとした空気が見え隠れしています。
「そちは、甘い」
信長は、なおも上機嫌でいった。(中略)
べつに光秀の在京官としての手落ちを責めはしなかった。
光秀はほっとした。ふだんの信長なら、この種の鈍感さを、
「怠慢」
としてどれほど責め、どれほど怒るかわからない。こんどという今度にかぎって、ばかにおだやかなのである。
信長が上機嫌なのにもかかわらず、どこかビクビクしている光秀の気苦労が感じ取れます。このなんとなく存在する溝は、しだいに深くなっていきます。
あるとき、光秀は信長から比叡山の焼き討ちを命じられます。しかし光秀は、仏像を焼くなどあってはならない!とはげしく反対します。すると信長は、
「そちは知らぬとみえるな、あれは」
と、さらにふかぶかと光秀をのぞきこみ、
「金属と木で造ったものぞな」
だから、焼いてもバチなど当たらない、ということなんでしょう。
仏像を焼いてはいけないと必死でうったえる光秀。それに対し、「金属と木で造ったものぞな」とケロリとした顔で応じる信長。対照的すぎて、思わず笑ってしまいます。こうしたズレがいたるところにあって、しだいに二人の溝は深まっていきます。これがやがて本能寺の変につながっていくわけですから、深刻な話なんですが、そんな中にもときどきフワッとした面白みがあるように思えました。