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絶海にあらず(上) 第1章 流水
絶海にあらず 上 (1) (中公文庫 き 17-8)
絶海にあらず 上
北方 謙三(著)

「第1章 流水」を読み終えました。

<藤原純友と小野古好>

藤原純友は洪水の被害を受けた人々を助けるため、水の中を動き回ります。そのとき小野古好という男と出会い、一緒に救助活動にあたります。

2人は互いに好感を持ちあい、以後、親交を結ぶようになります。

でもこの小野古好こそ、のちに純友が反乱を起こしたとき討伐に当たる人物なんですよね。歴史の教科書によると。

藤原純友と小野古好。

この2人の出会いをこんなふうに魅力的に描いてくれて、つづきも期待大です!

<藤原純友と平将門>

もしもその辺の公園で、松井秀喜とマイケル・ジョーダンがバーベキューを囲んで談笑していたら、目立ちますよね、きっと。それは周囲の人にとって、けっこうな見どころになると思います。

この「第1章 流水」でも、似たような見どころがありました。藤原純友と平将門が小さな村で鍋を囲むんです。互いにまだ無名です。お互いにお互いが歴史の教科書に載るような大きな反乱を起こすことになろうとは、まったく思っていません。

ともに無位無官。2人は妙に気が合います。

このずっと後、藤原純友は瀬戸内で、平将門は関東で兵をあげることになります。その2人が、今はまだ村はずれでのんびり鍋を囲んでいる。こういうのは、歴史小説の醍醐味のひとつですよね。

藤原純友は、ある程度の出世が約束された一族の生まれですが、先が見える退屈な人生を嫌い、「やることがないのではなく、やりたいことがない」という日々を送ります。

純友は見聞を広めるため関東の旅に出発し、そこでいろいろな人に出会います。平将門と鍋を囲んだのも、この旅の途中でのことです。

純友はこの旅で空也という僧侶にも出会います。こちらも歴史の教科書に出てくる人物ですね。

念仏を唱えるように言う空也に対して、純友は心の中で「なぜ、念仏を唱えなければならないのか。それより、もっと大事なものがあるのではないのか。人が救われるというのはどういうことなのか。」という疑問を感じます。

空也はまるで純友の心が読めるかのように、純友の疑問に答えていきます。

「人が救われるというのはどういうことなのか」

この一文を見たとき、胸に何かがズンッときました。でんじろう先生の空気砲みたいな衝撃が、ズンッと来たんです。

そんなところにまで足を踏み入れて行くのか、という、この作品の本気度みたいなものが伝わってきたのかも知れません。

高揚しました。

そっちがその気なら、こっちもこれまで以上に本腰を入れて読むぞ〜、という嬉しい興奮です。楽しませてくれますね、ありがたいです。
author:あーりー, category:平安鎌倉(藤原純友の歴史小説), 15:26
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