RSS | ATOM | SEARCH
絶海にあらず(下) 第11章 水鳥の巣
絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)
絶海にあらず 下 (2) (中公文庫 き 17-9)
北方 謙三(著)

<大胆不敵>

藤原純友は大胆不敵です。とうとう京都とまともに喧嘩を始めました。しかも巧妙に。

京都はまだ、喧嘩の相手が純友だということにすら、気づいていないんじゃないでしょうか。

<何のために戦うのか>

純友は、京都の締め付けから海を解放するために戦っています。

京都は、海の物流を制限しようとしています。純友はそれに反発しています。

物流が制限されると、西で作られた食べ物は、東へ運ばれることなく腐ってしまいます。そうなると、西の人は商売ができなくて困ります。東の人はお腹が空いて困ります。いろいろな人が迷惑します。

<京都にも言い分はある>

でも京都には京都の言い分があります。

京都は(つまり京都に君臨する藤原北家は)海の物流を制限することで、物価を調整しようとしています。

物価を全国で統一することで、貧しい者と富む者の差をなくし、争いのない国を作りたいと考えているんです。

それぞれに大義があるんですね。

<大義とは>

純友は大義について面白いことを言っています。

「大義など、ここに転がっている石ころのようなものよ。拾って、それを磨くかどうか、というだけの違いだという気がする。そして俺は、海で大義を拾った」

純友は熱いです。熱くなくちゃ、京都とケンカなんてできません。

それでいてクールです。自分の大義に溺れていません。

<純友の本音>

大義とはいいながらも、「純友の心の底にあるのは、藤原北家に対する反逆の心」です。

その戦いの場を海で見つけたというだけのことです。

海の男たちと利害が一致した、だから共に戦う、ということです。

純友は海の男たちのために戦っているのではなく、自分のために戦っています。

そして純友の仲間たちも、純友のために戦っているのではなく、それぞれ自分たちのために戦っています。
author:あーりー, category:平安鎌倉(藤原純友の歴史小説), 23:06
-, -, pookmark