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ハッタリは最強の武器 山本勘助の魅力
風林火山 (新潮文庫)
風林火山 (新潮文庫)
井上 靖(著)

読書日記。第2章までの感想です。

山本勘助は一度聞いたことは決して忘れない記憶力の持ち主で、「ただ一つの知識の欠片から、際限もなくいろいろなものを引き出すことができ」る才能を持っています。

人々の噂によると、勘助は行流という剣の名手で、全国各地を歩き回り諸国の事情に通じているとされています。

そんな勘助の名は、浪人の身でありながらすでに駿河、遠江、三河の今川領に広く知れ渡っていました。

しかし。

ここからが面白いんですが、噂はデタラメなんですね。

この小説の勘助は剣術の名手ではありません。

じつは「木刀など持ったことはない」し、「構え方の作法さえもろくに知っていない」んです。

諸国漫遊の噂もデタラメです。漫遊どころか、勘助は旅が嫌いです。

じつは「自分の郷里である参河と駿河の一部しか知らない」んです。

勘助が噂をとくに否定しなかったせいで、話が大きくなっていたんですね。


勘助は武田晴信(信玄)に召し抱えられ、諸国の情勢を聞かれたり、ほかの武将から剣術の試合を申し込まれたり、読んでいるこっちが焦ってしまうような危機に次々と直面します。

それでも勘助は平然と図太く、危機から危機へと渡り歩いていきます。

これですね。この貪欲さ。気骨。

勘助は自分の才能を縦横に発揮して城を取る合戦がしたいという夢を持っています。目的のためなら、噂でも何でも利用して、少しも引け目を感じることなく世を渡る抜け目なさ。

魅力的です。
author:あーりー, category:戦国時代(山本勘助の歴史小説), 17:01
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