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戦争と平和 トルストイ(著)
戦争と平和〈1〉
戦争と平和〈1〉

『戦争と平和』は、言わずと知れたロシアの文豪トルストイの長編小説です。歴史小説というよりも時代小説に近いですが、ナポレオンやロシア皇帝など実在の人物も活躍しますし、一応、歴史小説として感想を書いてみたいと思います。

そういえば先日なにかのテレビ番組で、女優の菅野美穂さんが「V6の岡田准一くんはドラマ撮影の休憩時間に『戦争と平和』を読んでいる」と話していました。

それはさておき。小説の舞台は19世紀初頭のロシア。ヨーロッパ諸国を制圧したナポレオンの脅威が、いよいよロシアにも迫ってくる、という時代です。いわゆる「ナポレオン戦争」時代のロシアの人々を描いた作品です。

歴史の教科書でおなじみの「アウステルリッツの三帝会戦」や「ナポレオンのロシア遠征」などの軍事的な出来事はもちろん、少年と少女の初恋の行方、青年の夢と挫折など、当時のロシアの貴族社会をとても細かく、丁寧に描いています。本当にひとりひとり、丁寧に。

ひとつの国家というのは、こうした小さな個人の集合なんだということをすごく感じました。

小さな個人の人生がたくさん集まって、ひとつの国家の動きをつくる。その国家が絡みあってぶつかりあって、ヨーロッパの激動をつくる。その激動が、歴史になっていく。

そこで「歴史を動かしているのは、誰なんだろう」と思うんです。この小説にはナポレオンが登場します。フランス革命の寵児。英雄です。歴史の渦のド真ん中にいた人物です。

じゃあナポレオンが歴史を動かしているのかというと、そうでもないんじゃないかと思うんです。むしろ歴史に動かされているような…

人々の小さな生活のひとつひとつが歴史そのものの鼓動で、それが脈打つごとに波が大きくなっていくという印象を受けました。

ナポレオンはその波に乗るサーファーです。どれだけ目立ってみても、サーファーには波を起こす力はありません。波の上で一番うまく踊れた人が英雄と呼ばれるんですね。

波を起こしているのは、たくさんの普通の人々。初恋をしたり、お酒を飲んだり、友人とケンカしたり、夢を語り合ったりしているフツーの人々。彼らのフツーの人生の集まりが、歴史のエネルギーになっていく。そういうことを考えさせられる小説でした。

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author:あーりー, category:外国が舞台の歴史小説, 18:41
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